一条通にかけられた堀川を渡る橋を『一条戻橋』といいます。小綺麗に整備はされているけれどもコンパクトなどこにでもある橋です。
けれどこの橋は、何度か姿は変えつつも794年の平安京造営のときからずっとこの場所にかけられているのです。そう思うとさすが京都。橋ひとつとっても古代のロマンを感じずにいられません。
当時、堀川を挟んで右と左では世界が違っていたのだそうです。天上人が暮らすきらびやかな屋敷と、貧しい人たちが生活する暗い土地。このちいさな橋ひとつが世界を分けていたなんて想像もできません。

今ではすっかり遊歩道となっている堀川も当時は都の生活を支える水運となっていたのでしょう。
戻橋という名前にもファンタスティックなものを覚えますが、このような名前になった由来はいくつかあるそうです。

死んだ父親の魂が一瞬だけ戻ってきたから、女性に姿を変えた鬼が現れたから、安倍清明が式神を橋の下に住まわせていたから。
どれもがおとぎばなしのような、真実であってほしいような。
古来から川というのは、宗教的にもとても意味深いものです。川を渡るということは、あちらの世界からこちらの世界へやってくる、ということで、さあ、私は一条戻橋を「左側」から「右側」へ渡りました。
渡り終えたとき、もしかして世界が変わっていたらどうしよう、なんて非現実的なことを考えてしまうのも京都ならではかもしれません。
旅データ
- 住所:京都府京都市上京区堀川下之町
- アクセス:京都駅前から市営バス(二条城・西賀茂車庫行き[9番系統])に乗車し、一条戻橋・晴明神社前バス停下車すぐ
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